物件を取得する際に課されるさまざまな税金の額は、その物件に対して市町村が決めた「固定資産税評価額」が基準となり計算されます。
ここでは、税額決定の基準となる「固定資産税評価額」の調べ方について解説します。
固定資産税評価額とは?
固定資産税評価額とは、固定資産税の納税額を決めるための、物件の評価額です。
この評価額は固定資産評価員(不動産鑑定士)の評価に基づき、市町村が最終的に決定しています。
実勢価格(実際の取引が成立する価格)の70%程度を目安に決定され、3年に1度、評価額が見直しされます。その後2年間は、原則として据え置きされますが、新築・増改築があった建物や、合筆などがあった土地などは、新たに評価をして価格を決定します。
固定資産税評価額の調べ方
物件の固定資産税評価額を調べるには、次の2つの方法があります。
固定資産税課税明細書の確認
物件を1月1日時点に所有している人に対して、その年の4月〜5月ごろに市町村から送付される「固定資産税課税明細書」を確認します。
明細書の書式は、市町村によって異なります。この「価格(評価額)」と書かれた欄に記載されている金額が、固定資産税評価額となります。
固定資産税課税明細書を紛失してしまった場合は、不動産を管轄する市町村役場などで取得できる「固定資産税評価証明書」を取得することで、固定資産税評価額を確認することができます(有料)。
固定資産課税台帳の閲覧・縦覧
固定資産税の納税義務者等(≒物件の所有者)は、自分の資産の課税台帳を年間を通じて市町村役場などで閲覧することができます。
また、資産(土地・家屋)の評価額一覧表(縦覧帳簿)を見て、自己の資産の評価額が適正であることを確認するための「土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧」制度があり、毎年4月頃の一定期間に確認をすることができます。
固定資産税評価額を基準とする、さまざまな税金
固定資産税評価額は、次の4つの税金を計算するのに利用されます。
固定資産税
固定資産税は、不動産の所有者に対してかかる税金です。固定資産税評価額×1.4%で算出できますが、市町村によって税率を独自に定めることができるため、地域によって異なる場合があります。
固定資産税の課税の対象となる土地が住宅用地だった場合、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)に対しては、固定資産税評価額の1/6のみが課税対象となり、一般住宅用地(200㎡超で、建物の延べ床面積の10倍までの部分)に対しては、固定資産税評価額の1/3が課税対象となる減税措置があります。
都市計画税
都市計画税も、都市計画区域内に不動産を所有する者に対してかかる税金です。固定資産税評価額×0.3%で算出できますが、市町村によって0.3%を上限として税率を独自に定めることができるため、地域によって異なる場合があります。
登録免許税
登録免許税は、物件を譲渡する際の所有権移転登記などに課税される税金で、2019年現在、土地の所有権移転登記に関する税率は1.5%、建物は0.3%となっています。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得した人に対して課税される税金で、その金額は固定資産税評価額×4%で算出できます。
固定資産税評価額に対する審査申出
固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては、毎年4月1日の固定資産の価格を登録した旨の公示の日から納税通知書の交付を受けた日後60日まで(通常2か月〜3か月間)以内に、文書をもって、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができます。
固定資産税評価額は3年に1度、評価替が実施されるため、この年以外に申立てすることはできません。
まとめ
物件の固定資産税評価額の調べ方と、評価額を基準とするさまざまな税金について解説をしました。
物件の固定資産税評価額を知っておくことは、事前に取引の際にかかる税金を把握することができるため便利です。