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「農地」や「農地付き空き家」が簡単に取引できない背景と、法改正のトレンド

農地は他の土地とちがい「農地法」によってその取り扱いが定められています。

農地は限られた資源であり、食料の安定供給につながるように保護する目的が背景にあるため、農地を農地以外のものにすることや、農業従事者でない一般の人が農地を取得することが制限されています。

 

一方で後継者や担い手不足から、活用されていない遊休農地が増えています。

参考 遊休農地 活用進まず 全国9・8万ヘクタール解消頭打ち
出典:日本農業新聞(2019/11/3)

 

そこで、農地法の内容と、農地の取引方法、そして地域の活力維持に欠かせない「農地活用のための法改正」などのトレンドについて確認しましょう。

1.農地の定義は現況主義

まず農地とは「耕作の目的に供される土地」と定義されています(農地法第2条第1項)。

しかも登記簿上の地目は関係なく、土地の現況によって判断されます。したがって、登記簿上「宅地」となっていても、実際には農地であることがありますので注意が必要です。

このように判断が難しい場合がありますが、農地か否かの判断はその地域の「農業委員会」に問い合わせることで確認できます。

2.農地法による規制

農地法による規制は、

①使う人が変わる「権利移動」(農地法3条)
②使い方が変わる「転用」(4条)
③両方変わる「転用目的権利移動」(5条)

が設けられています。

 

いずれのケースでも「農地」や「農地付き空き家」の取引をする場合は、農業委員会の許可(あるいは都道府県知事の許可)が必要になります。

 

①農地の権利移動(3条)

農地を譲り受け本格的に農業がしたい場合は、農地法3条の許可(農業委員会)が必要です。

農地を新たに取得する人が許可されるためには、

(1)農作業に常時従事すると認められること(農業従事者)
(2)取得後の農地面積が、50a(北海道では2ha)に達すること(耕作下限面積)

などの条件が定められています。

 

②農地の転用目的権利移動(5条)

農地を譲り受けるが、家庭菜園程度の利用であったり、他の目的で利用したい場合は、農地法5条の届出(農業委員会)または許可(都道府県知事)が必要です。

住宅・資材置き場などにする場合にも必要な手続きであり、土地所有者や隣地農地所有者、取水・排水に関わる水利権者などの同意が必要です。

またすでに現況が農地でない(例:駐車場など)物件を譲り受ける場合には、まず所有者が転用(農地法4条)許可を得た上で、引き渡します。

 

3.農地区分による転用許可基準

農地は、その土地の営農条件や市街地化の状況から判断して、5種類に区分されています。この区分は、農地転用の際の許可基準に大きく差がありますので注意が必要です。

①農用地区域内農地 農用地等として利用すべき土地として、指定された区域にある農地で、原則として転用が認められることはありません。
②甲種農地 市街化調整区域内にある農地で、特に良好な営農条件を備えている農地をいいます。原則農地転用が不許可となっています。
③第1種農地 およそ10ヘクタール以上の規模の一団の農地や土地改良事業などの対象となった農地、生産性の高い良好な営農条件の農地がこれにあたり、原則農地転用が不許可ですが、公共性の高い事業の用に供する場合等は許可されます。
④第2種農地 駅から500メートル以内の距離にあり、今後市街地として発展する見込みがある農地や生産性の低い農地をいいます。
土地周辺の他の農地が転用できない場合は許可されます。
⑤第3種農地 駅から300メートル以内の距離にあり、都市的施設が整備された区域内または市街地区域内にある農地をいい、原則として転用が認められています。

 

4.農地・農地付き空き家の契約

農地の取引は、農地転用などの許可が得られないうちに契約することができません。したがって、許可が得られない場合は契約を白紙にもどす「停止条件付き契約」を締結するにとどまります。

当然登記をすることもできませんが、将来要件が揃った時の順位を確保するために、仮登記をしておくという方法もあります。

5.改正地域再生法「農地付き空き家の活用」

移住や新規就農を促進することを目的に、空き家と農地をセットで取得する場合の耕作下限面積を引き下げる特例を定める市町村が急増(32道県153市町村)しており、1アール(100㎡)まで引き下げる自治体も出てきています。(兵庫県宍粟市など)

2019年12月に成立した「改正地域再生法」では、こうした農地付き空き家を取得したい移住者への支援策が盛り込まれています。

農地付き空き家の取得の支援により農村地域への移住を促進する事業が創設され、空き家に付随する農地などを取得する際の下限面積要件の引き下げを円滑化する特例も新設される予定となっています。

 

まとめ

かつて農業生産力の増進を目的に定められた「農地法」ですが、一方で取り巻く環境の変化により、新たな取り組みへの制約にもつながっています。

「農地」「農地付き空き家」の活用は、地方創生や地域の活力の維持・向上のためにも有効な資源であると国も認識しており、今後の法整備が期待されます。

国土交通省では2018年3月、自治体職員、不動産業界関係者、農業団体関係者など向けに「農地付き空き家」の手引書を作成し公表しています。移住・就農希望者にも理解できる内容になっているので、興味のある方はぜひ一読されてみるとよいでしょう。

 

参考「農地付き空き家」の手引書(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/common/001226568.pdf

 

 

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