全国至るところで活用されていない空き地が目にされますが、土地の有効活用のため、政府は「低価格の空き地」を対象として売却益から100万円を控除する方針を固めたことが報道されました。
参考「最大100万円を控除 空き地の売却促進へ 低価格の土地対象に」
出典:NHK NEWS WEB
これまでの制度
土地を売却する際には、取得時の価格と売却時の価格を比べた「譲渡所得(売却益)」に対して、所得税と住民税合わせて20%が課税されているのが現在の制度です。
譲渡所得(土地の売却価格 ー 取得時の価格) × 20% = 所得税・住民税
今回検討されている内容
今回の措置では、土地の売却代金が500万円以下の場合に、この譲渡所得(売却益)から100万円を控除するという内容が検討されています。
( 譲渡所得 ー 100万円 ) × 20% = 所得税・住民税
つまり、売却益(譲渡所得)が100万円の場合は、所得税・住民税がこれまで20万円かかっていたところが、一切かからないこととなります。
想定される影響
利用が進まない土地に対する、税負担を軽くする本格的な税制は初となるため評価できる一方で、特に未活用の空き地が多い地方部では、取得時よりも売却時の価格のほうが下回っているケースが多いため、効果は局所的なものに止まるのではないかと考えられます。
譲渡所得(土地の売却価格 ー 取得時の価格) = 地方ではマイナスになるケースが多い
また空き地の利用が進まないのは、価格面だけではなく登記制度の不備による「所有者不明土地」の問題なども大きく関わっており、当社が実施した地方部における「空き地調査」においてもその課題は浮き彫りとなっています。
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現在政府は、利用されていない土地の定義や、対象となる売却額の上限、家ごと売った場合も対象に加えるか、など優遇の条件をさらに詰めているところ、とのこと。
今後、税制調査会での議論を踏まえてこの優遇措置を2019年12月にまとめる来年度の税制改正大綱に盛り込む方針とされており、今後の動きに注目です。