不動産の無償譲渡にあたっては、必ず当事者間で贈与契約書を締結することをおすすめします。
ここでは、不動産贈与契約の注意点を解説し、すぐに使える契約書サンプルをご用意いたしました。ぜひ参考にしてください。
法的手続等を行う際は、専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。
不動産贈与契約書・作成のメリット
不動産贈与契約書を作成することで、次のようなメリットがあります。
トラブルを避けられる
契約書作成の一番の目的は、契約当事者間のトラブルを避けることです。書面で内容を記していないと、「言った」「言わない」の水掛け論になってしまうことがあります。贈与契約書は将来のトラブルを避けるために用意しましょう。
確実に贈与が行われる
口約束で行なった贈与は「やっぱりやめた」と撤回することが容易です。民法550条では、書面によらない贈与は、実際にものをあげる前であれば撤回することができるとされています。
贈与契約書を作成した場合、こうした撤回は認められませんので、直前に贈与されなくなる等の事態を回避できるのです。
登記に活用する
贈与によって不動産を得た場合、不動産登記の名義変更をするために、贈与契約書が必要になります。贈与契約書を作っておくことで、登記名義人の変更をスムーズに行うことができます。
不動産贈与契約書の作成方法・注意点
契約書を自分で作成する場合には、いくつかのポイントに気をつけましょう。
契約書様式(サンプル)
贈与契約書には決まった形式はありません。ただし、贈与契約書の署名と日付は手書きで記入するようにしましょう。なお、贈与契約書には1部につき200円の収入印紙を貼ってください。
すぐに活用できる不動産贈与契約書のサンプルをご用意いたしましたので、ご活用ください。
記載すべき5つの内容
契約書を作成する前に契約内容を決めなければなりませんので、当事者間で話し合い、口頭で合意を確認しておきます。
贈与契約書には「①誰から」(贈与者)、「②誰に」(受贈者)、「③何を」(贈与の目的物)、「④いつ」(贈与の時期)、「⑤どのようにして」(贈与の方法)、贈与するのかの5点を盛り込みます。
特に「③何を」は地番や家屋番号を正確に記載しなければなりません。
登記事項証明書を確認しながら、正確に記載しましょう。
また建物や土地だけではなく、残置物(家具・備品や樹木庭石など)の所有権についても確認しておくと安心です。
不動産の表示
不動産の表示は、土地の場合「所在」「地番」「地目」「地積」を記載します。
また建物の場合は、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」を記載します。
また、地方部の建物には未登記のものが少なくありません。そうした場合には「家屋番号」に「未登記」と記載し、『建物については未登記のため,固定資産税・都市計画税課税明細書に記載されている表示のとおりとする。』と明記しておきましょう。
印艦について
認印でも、契約自体は成立します。後日の紛争等を避けるためには「実印で押印」する方がよいかもしれませんが、根拠はありません。
ただし、より安心を求めるのであれば、実印を使用しましょう。
これらを2通用意し、契約当事者双方で一部ずつ持っておくようにしましょう。
まとめ
以上、不動産贈与契約書作成の注意点について説明しました。
トラブルなく確実に不動産を譲渡されるための参考にしていただければ幸いです。
また、不動産贈与契約書について不明な点は、弁護士・司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。