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知っておきたい、未登記物件の贈与契約と登記のしかた

2019年7月20日

一般に、不動産はその所有者を明確にするため「登記」が行われています。しかし中には「未登記」状態の建物が存在しており、円滑な取引が出来なくなるなどのトラブルの可能性にもつながっています。

ここでは、未登記物件の贈与契約の方法を解説し、また贈与された未登記物件の登記手続きの進め方について解説します。

法的手続等を行う際は、専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

未登記物件の贈与契約

未登記物件の贈与契約は、つぎのように進めるとよいでしょう。

  1. 不動産贈与契約書に「未登記物件」を贈与する旨記載
  2. 固定資産税の納税義務者変更手続き

 

不動産贈与契約書に「未登記物件」を贈与する旨記載

不動産贈与契約書の際には、贈与契約書を作成することをおすすめします。その契約書内において、

『建物については未登記のため,固定資産税・都市計画税課税明細書に記載されている表示のとおりとする』

といった一文を付け加えておくとよいでしょう。

 

固定資産税の納税義務者変更手続き

各自治体には「未登記家屋納税義務者変更申告書」「未登記家屋台帳所有者訂正申告書」といった、所有者を変更するための書式が用意されています。

こうした届出が提出されないと、旧所有者などに誤った課税がなされたり、納税証明書等の発行に問題が生じるなどの恐れがあります。

 

毎年1月1日現在の所有者に課税されるため、提出が1月1日より前であれば翌年度から新所有者に課税され、1月1日より後であれば翌年度は旧所有者に課税され、翌々年度より新所有者への課税になりますので注意しましょう。

提出には「贈与契約書の写し」や「印鑑証明書」「住民票抄本の写し」「(法人の場合)法人の登記事項証明書の写し」などが必要になる場合があります。詳細は、各自治体にお問い合わせください。

 

これで、未登記物件のおもな贈与手続きは終了です。

 

未登記物件の登記の進め方

つぎに取得した未登記物件の登記の進め方について解説します。

 

未登記のままのリスク

取得した物件の登記をしなくても、建物が建っていれば住所も付されるため、生活に大きな支障はありません。しかし建物の登記は本来、義務となっています。

またそのままの状態だと、その不動産の所有者は「自分がこの不動産の所有者である」ということを、第三者に主張することができない可能性があります

最悪の場合、第三者が勝手に自分名義にしてしまう可能性もゼロではないことを抑えておきましょう。

 

どんな建物でも登記は可能

築年数が不明だったり、建築当時の図面や建築確認書などの資料も残っていない建物でも、登記をすることは可能です。

 

未登記建物を登記する手順

未登記建物の登記手続きには、次の2つの手順が必要です。

  1. 建物表題登記を行い、登記簿を作成する。
  2. 登記簿を作成したのち、所有権保存登記を行う。

 

建物表題登記

建物表題登記とは、どのような建物(階数、居宅か店舗かなど建物の種類、木造・鉄骨造といった構造、床面積、等)が建っているのかを公示する登記です。

表題登記を行って初めて登記簿が作成されますので、所有者を確定させる上では必ず行わなければいけない登記です。

建物表題登記の申請にあたっては、現地での建物測量や、市税事務所や市役所等で所有者を確定させる調査等専門的な知識が必要となるため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

 

所有権保存登記

所有権保存登記は、所有者が誰であるかを公示する登記です。

建物表題登記によって作成された登記簿の床面積により、その建物の登記用価格を算出し、その価格に基づいて算出した登録免許税を法務局に納めます。

また市町村が独自に調査を行い評価額を決めている場合もあり、その場合評価証明書も発行されるため、評価証明書の金額を基に登録免許税を算出します。

市町村の調査による評価証明書の床面積と、登記法に基づく測量による床面積が異なるケースもあり、そうしたケースでは事前に法務局への相談なども必要になります。

これらは、登記の専門家である司法書士に依頼することができます。

 

登記の費用について

未登記建物の登記費用は、おおむね以下のとおりです。

  • 建物表題登記手続費用 8万円位~15万円前後 土地家屋調査士(物件の大きさ等によりさらに変動あり)
  • 所有権保存登記費用  2〜3万円前後(司法書士)+登録免許税

 

まとめ

未登記物件を贈与契約する方法の解説と、贈与された未登記物件の登記手続きの進め方について解説しました。

トラブルなく確実に不動産を贈与されるための参考にしていただければ幸いです。

法的手続等を行う際は、専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

 

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