現在、所有者が亡くなった後の相続登記が未登記のままであることが原因で、所有者が分からなくなってしまっている「所有者不明土地」の総面積は、九州以上の広さにもなっていると言われています。
これでは円滑な土地取引の妨げとなるため、これまで任意だった相続の登記申請が義務化されるような制度改正が行われます。
具体的な制度改正の内容と、それによる影響をみていきましょう。
改正案の大きなポイント4つ
①相続登記の義務化と罰則の制定
相続によって不動産を取得したことを知ってから3年以内に登記申請することが義務化され、違反者には10万円以下の過料の対象とされます。
相続開始から3年以内に遺産分割協議(遺産分配などの話し合い)がまとまらずに相続登記ができない場合は、法定相続分による相続登記をするか、自分が相続人であることを期間内に申請(相続人申告登記)すれば過料を免れることができます。
ただし、その後に分割協議がまとまって、自らが不動産取得した場合は、それから3年以内に登記しなければやはり過料の対象となります。
②氏名および住所の変更登記の義務化と罰則の制定
所有者である個人や法人の氏名又は名称及び住所の変更があった場合は、その日から2年以内の変更登記申請が義務化されます。違反者は5万円以下の過料対象となります。
③法務局による所有者情報取得の仕組み制定
法務局(登記官)が、住民基本台帳ネットワークシステム又は商業・法人登記システムから所有者の氏名又は名称及び住所の変更情報を取得し、職権で変更登記をすることができる仕組みが作られます。
ただし、所有者が個人であるときは、本人への意向確認と本人からの申出を必要とします。
④土地の所有権放棄の制度化
相続した土地の管理が難しい場合、一定の条件を満たせば土地を国庫に返納できる仕組みが導入されます。
対象となるのは「建物がない」「担保権等が付いていない」「土壌汚染がない」「境界について争いがない」「管理又は処分にあたって過分の費用又は労力を要する土地でない」等の条件を全て満たした土地に限られます。これは相続した土地に限り、自分が購入して不要になった土地は該当しません。
また、申請時の手数料と、国が10年間管理するのに必要となる標準的な費用(200㎡の宅地で80万円程度が目安)は申請者が納付しなければなりません。
改正による影響を考える
①過料の額と相続登記費用のバランスはどうか?
たとえば相続登記を行うための、登録免許税や司法書士に対する料金の総額が30万円であるなら、相続登記をしないで10万円の過料を支払った方が良いと判断され、相続登記をする必要性に乏しいような場合(だれも相続を希望しないようなケース)は、強制力に欠けることが懸念されます。
あえて相続登記を放置しておくという者があらわれることが予想でき、どの程度まで実効性があるのか疑問視されます。
②施策の強制力はどうか?
不動産登記法では、表示に関する登記(表題登記)について、登記を怠った場合は10万円以下の過料に処する(不動産登記法第164条)とされています。
しかし実際には未登記の不動産が多数存在しており、相続登記についても施策の強制力をどのくらい持たせられるかが課題となるでしょう。
また相続登記の義務化は3年以内、住所変更は5年以内に施行することが予定されていますが、すでに現時点で相続登記や変更登記が未了となっている不動産が即登記義務化の対象となるわけではありません。
今後の「所有者不明土地」発生の予防には一定の効果が見込まれますが、すでに九州以上の広さとなっている「所有者不明土地」に対する有効な措置も、並行して検討されることが期待されます。
まとめ
相続登記・住所変更登記の義務化と、土地所有権放棄の制度化について整理しました。
当サイトで扱う物件のような「だれも相続を希望しない廉価な不動産」のケースにおいて、相続登記が進まないもうひとつの理由として「出口」が見えないことが考えられます。
相続登記を済ませたとしても、不動産処分に至るかどうかの保証がなく、結果として固定資産税や管理負担だけが残り続けるといった事態を回避したい思いが、相続登記の未登記につながっています。
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